元・陸上幹部自衛官の13年間の奮闘記

ダメダメ大学生だった元陸上自衛官の13年間の自衛隊での経験や教訓を共有するブログ

陸上自衛隊と娘のスイミングスクールで学んだ  リーダーシップで本当に大切なこと

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おはようございます。

元・国防男子の大吉です。

 

昨日、3歳の娘のスイミングスクールに付き添いに行ってきました!

そこの娘のクラス担当のコーチが、すごかったんです!

このコーチは、20代前半くらいの女性。

リーダーシップや人間関係で大切なことを改めて感じてきました。

 

 

うちの娘はシャイなので、中々コーチとも話ができず、まだ水に顔をつけることができない。同じ時期に入った子は、どんどん上のクラスに上がっているのに、2ヶ月以上も一番下のクラスで練習している。

 

毎週土曜日には、市民プールに行って自主練もしているのだが、水嫌いなので中々顔を水につけることができない。

 

でも、本人はプールに行くのをいつも楽しみにしていて、楽しんでやっているようなので、厳しくやらせることもなく、本人の意志に任せている。

 

これまでの娘を見る限り、自分自身が納得するまで先へ進まず、納得したら一気に前進するタイプの子供だと僕は理解しているからだ。

 

おむつも中々取れなかったが、ある時、自分の中で何かストーンと落ちたらしく、突然トイレができるようになって、失敗も全くしていない。

 

きっと、今、水に顔をつけることやバタ足をすることを、他の子がやっているのを見ながら、どうやってやればいいのかを一生懸命に理解しようとしていると思っている。

そして、そのうち一気にできるようになると信じて気長に待っている。

 

昨日のスイミングスクールでは、娘のクラスは8名。

年齢も性別も性格も様々・・・

泣く子もいれば、やんちゃで言うことを聞かない子も・・・

 

(このクラスのコーチは大変だな〜)

 

娘のクラスの担当のコーチとは、娘がスクールに通い始めたときからずっとお世話になっているので、娘がシャイで中々他人に心を開かない性格も気づいているようだ。

 

以前、娘の進捗状況が他の子供より圧倒的に遅いので、どのように水に慣れさせればいいのかを相談したことがあった。

親としては、他の子と比べて、中々進歩しないので、ヤキモキしていたが、

そのコーチはそんなに心配していなかった。

 

むしろ、

 

「大丈夫ですよ。Cちゃんは、何をやらないといけないかは理解しています。私やお友達とも徐々に打ち解けてきましたし、一生懸命やっているので心配ないですよ。」

 

「それに、Cちゃんの良いところは、水に口をつけたあとに、ちゃんとパッっと口を開けて息をできることです。これができない子が多くて、後々つまずいてしまうんですよね〜。すぐに成長できると思います。」

 

僕は、このコーチの言葉を聞いてとても安心しました。

 

子供のことで心配している親に対して、しっかりと安心させる言葉をかけ、更に褒めるべきポイントもしっかり伝えてくれた。

 

 

一回のクラスは、たった45分で、コーチと子供がコミュニケーションを取る時間はそれほどない。そして、クラスのメンバーはすぐに入れ変わってしまう。

 

しかし、一回一回のクラスや出会いを大切にし、一人ひとりの子供としっかり触れ合い、短い時間でもそれぞれの子供の性格や特性を理解している。

 

そして、娘がロッカーで着替えているときに、気にかけていつも声をかけに来てくれる。今日上達したこと等とこれからやるべきことを丁寧にアドバイスしてくれる。そして、帰り際には、いつもハイタッチ

いつもブスッとしている娘もこのコーチにはニコっと微笑み、完全に心を開いた。

 

彼女の心遣い、素晴らしいと思いませんか?

 

もし、あなたの上司がここまで親身になって接してくれたら、すごく頼りがいのある信頼できる上司だと思いませんか?

 

そこで、

ちょうど、今、幹部候補生学校を中心としたブログを書いていることもあり、僕が彼女くらいの年齢のときはどうだったのかな〜と思い出してみた。

 

彼女の年齢は、恐らく僕が幹部候補生学校に入校してたときと同じくらい。

 

正直、僕の過去を思い出してみると、そこまでの人を思いやったり、相手の気持ちを本気で理解する能力はなかった。というより、それが重要だと気づいてさえいなかったのかも。

f:id:future_oriented:20180706071800j:plain陸上自衛隊HPより引用)

 

あの頃は、自分のことで手一杯自分の成長に精一杯だった。

 

 ・ 同期に勝ちたい!

 ・ できるだけ良い成績を収めたい!

 

困ってる同期を助けると言っても、本当は連帯責任が嫌だったからかも。

とりあえず同期のやることを手伝って、区隊としてしっかりできているところを教官達に見せなければ、「反省」をしなければならない。それはゴメンだ。だから、同期を助けていたんじゃないか?

 

心に余裕が無く、本当に自己中心的未熟だったことを思い出して恥ずかしくなった。

 

彼女には、全く及ばない・・・ 

 

相手の立場に立ち、親身に相手のことを考えること。

 

これって、リーダーシップを執るに際しては、実はとても大切なことですよね?

 

部下の立場に立ち、口先だけでなく、形式的でなく、心の底から部下のことを考えることができなければ、真の信頼関係はできない。

 

僕は、この20代前半の女性コーチから改めて重要なことを学んだ。

 

 

でも、実は、こういうことができないまま、陸上自衛隊の階級的にすごく偉くなってしまった人も結構いるんです。

 

陸上自衛隊では、学校での成績が良く声の大きい人自分の意見を押し通す人、部下をしばきまくって自分の偉さを誇示する人が偉くなってしまう昇任システムなんです。(← これホント)

だから、自殺者も無くならないし、いじめ等の不祥事もニュースで出てしまう。

 

指導する側の上司も、やるべきことが沢山あるのでストレスが溜まり、部下に当たり散らしてしまうということもあるかもしれないが、そこで部下に当たり散らしてしまうのは、リーダーとしての度量の狭さ

 

でも、そんなリーダーって本当のリーダーなの?って思ってしまいますよね。

 

僕も13年間の陸上自衛隊生活で、大変な上司に仕えたこともありました。

とある司令部勤務したときのこと。

 

上司で、とんでもない「将軍」がいた。

 

なんと、自分自身で

「俺は、部下を指導するのが趣味だからな!」と豪語し、

毎日のように部下を2時間以上立たせたまま、うれしそうに指導する将軍様

 

指導される側としては、課業が終わった後に2時間も指導されたら、溜まったもんじゃない!その部下は、2時間指導された後に、指導された事項に修正をしなければならないのだ。家で家族が待っているのに、いつまで経っても帰れない・・・

 

2時間も立ったままで指導されて、指導される側は、そんなに集中力は持つのでしょうか?

その指導、非常に非効率理不尽だと思わないんでしょうか?

それでも、あなたの「趣味の指導」に部下の大切な時間を使いますか?

言えるものなら、言いたかった・・・(´・ω・`)

 

また、僕は、その将軍様を演習で地方に行くときにエスコートをしたことがあった。

ひどい目に会いました・・・

当日、将軍様は、なぜか、常にイライラされておられた。(;´д`)トホホ…

 

演習が終わって、帰りの出来事。

 

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将軍様:「おいっ!帰りの新幹線の時間を30分早くしろ!」

 

(出た!むちゃぶり!)(;・∀・)

 

僕  :「事前に司令部のクレジットカードでチケットを買っていますので、規則上チケットの変更はできないことになっています。」(-_-;)

 

将軍様:「あ"ー、何で出来ないんだー。すぐに、係に確認しろ!」

 

そこは何とか宥めて、理解してもらったが、

 

(あー、やばい!将軍様の気を悪くしてしまった・・・何とか挽回をせねば・・・)と気を揉んでいるとき、

 

その時は、訪れた。

 

将軍様は、体にリュックを背負い、両手に大きな荷物を抱えておられる。

 

(重そうだ。よしっ、チャーンス!)(-ω☆)キラリー°

 

僕  :「H将補!お荷物をお持ちいたします!」(#^.^#)

 

しかし、僕を睨みつけ、

 

将軍様うるせーよ!ほっとけ!

 

(何で、キレて言われないといけないんだ?エスコートの役目を当たり前にやろうとしただけなのに!)(●`ε´●))

 

と、こんなこともあった。帰る途中、ずっと気分が悪く、将軍様の機嫌を損ねないようにヒヤヒヤしていた。

 

この将軍様のように、人間性にかなりの問題を抱えているにもかかわらず、学校の成績が良く、声が大きければ、陸上自衛隊では将軍になれてしまうんですよ。

 

オラオラ系の人って、部下の事を心の底から考えられないです。

「俺はすごい。俺がトップだ。だから、俺についてこい!」と思っているので、部下の気持ちもわからないし、反省もすることはないんです。

 

心が育っていないまま、階級だけが上がってしまった人

 

1佐クラスでも、そういう人を見かけます。

自衛隊では多いんです。こういう人は、陸上自衛隊の人事システム上淘汰されることは殆どなく、階級社会なので、階級が高くなると誰も指摘してくれないんです。

というか、指摘できないんです。部下は逆らえないので、耐え忍ぶんです。

 

僕は、13年間陸上自衛隊で勤務をして、「人間性」という一番リーダーシップに必要な部分が評価されず、昇任してしまう陸上自衛隊の人事システムに大きな疑問を持ってきた。「人間性」の無い人が上司となり、部下の気持ちも分からず感情に任せた厳しい指導をするから、いつまで経っても自殺者が無くならないのだ。

 

僕は、かつての職務上、米国陸軍の将軍とも何人かお話したことがあるが、米国陸軍の将軍の人間性ピカイチ。誰に対しても優しく振る舞い、優しく声をかけ、心の余裕を感じられる。

 

やっぱり「将軍」ってこうあるべきですよね。

 

これから自衛隊の幹部になる人には、これだけは伝えたい。

 

  •  リーダーとして、内面を磨くこと。
  •  相手の立場に立ち、親身になって相手を思いやること。

 

リーダーシップで、本当に大切なことだと思います。

 

陸上自衛隊について、色々とぶっちゃけ話をしてしまいましたが、これから、リーダーとしてまずは、自分をしっかりと磨いてください。

 

あっ、それから、もちろん陸上自衛隊にも人間的にも優れた人は沢山います。

神様仏様と思うくらい素晴らしい人間性を持った人は沢山います。

僕は、そういう人たちにこそ偉くなって陸上自衛隊を支えて欲しいんです。

そうすれば、仕事がやりやすく、安心して働ける組織になると思うんです。

 

 

最後まで読んでくれてありがとうございます。

今日も皆様にとって良い一日となりますように。

 

元・国防男子 「大吉」